清々しい朝。まさに、絶好のデート日和。
華やかなワンピースにお気に入りの帽子とサンダル。久々のお出かけなのでメイクにも気合いを入れてみた。携帯と財布とティッシュ&ハンカチを入れれば準備オーケー。
しかし、事件は起きました。

「ちょっとー。いい加減に起きてよー。今日は私とデートするって約束したじゃない!」

デート相手の家に本人を迎えに行ったら、何故かインターホンを鳴らしても出て来ませんでした。
で、私は合鍵を持っているので、それで玄関の扉を開けてやった。玄関にアイツの靴はある。キッチンから良いな匂いはしない、シャワーの音もしない。まさかと思いながら私は二階にある彼の部屋へと足を運んだ。
すると案の定。アイツは居た。
シーツに身を包みながら「んー」と声を漏らしていた。
いい年して寝坊かよ。

「マジか。一週間前から約束してたのに。起きてよぉ、私楽しみにしてたんだから」

身を揺らしても目を開けてくれない。
「ちょっと!!」と声を荒げて怒鳴り、シーツを剥ぎ取った。

「迎えに来てもらって連絡もせずにわりーが、許せ。疲れてんだ。デートならいつだってできるだろ」
「はあ!? デートなんていつだってできないからこそ今日楽しみにしてたんじゃん! アンタいつも仕事で忙しいんだもん!」
「その仕事が急に忙しくなって、一睡もしてねぇんだよ」
「今日は何があっても休暇取るって言ったくせに!」
「そんなことも言ってられなかったんだよ。目上の者ってのはそういうもんだよ」
「私は、きちんと仕事を断ったわよ」
「相手が相手だ。俺は断れることが出来なかった」

全部、言い訳に聞こえるのは私だけかしら。
そりゃあさ、仕事が忙しいってのも分かるし、断れない任務だってあるものわかってる。でもたまには、その仕事を断ってくれてもいいじゃない。現にできないことじゃないんだし。
優秀な社員なんてそこらに何百人いると思ってんの。仕事を多めに任せる上司もどうかしてるけどさ。
特に信じられないのはコイツの気力。喋る気力があるのにどうして立ち上がる力はないのかしら……。

「この埋め合わせはまたするから」

そう言って彼は、二度と私に話しかけなかった。
むかっとした私は、バンッと彼の部屋の扉を閉め、涙目で家を去ろうと玄関まで下りた。
もう、私に飽きちゃったのかな。
私だったら一睡しなかろうが風邪ひいてようが腕がもげてようが死んでようが(いや、それはちょっとオーバー)、デートには行くんだけどなあ。彼のためなら何でもしてあげるのに、向こうはそうでもないんだよね。
そう思いながら私は自分の家に帰ろうとしたけど、やっぱり不安で不安でそれを確かめたくて、再び彼の部屋を訪れた。

「…………」

やはり奴は寝ている。くーくーと寝息をかきながらすでに眠りの世界へダイブ。
意を決して、私は足元のシーツをめくりあげ、そこに頭を突っ込んだ。
もぞもぞと動いている私に対し、彼がまた目を覚ます。

「……何やって、」

んだよ、と言いたかったんだろうけど、何故か彼の言葉はそこで途切れた。
多分、私が今、何かをやろうとしていることを、想像したのかもしれない。
私は何も答えず、仰向けになっている彼のズボンに手をひっかけ、そこに手を突っ込んでみた。
すると、どうだろう。“彼”は何故か既に大きくなっていた。なんちゅー野朗だ。身体は疲れてんのに一部だけは元気なんて。
腹立たしくて、同時に恥ずかしくて、“彼”をひねり潰してやろうかとも思ったが、とりあえず、まずは軽く摩ってみる。すると彼は「……っ、」と声にならない悲鳴をあげた。

強く擦る。
「くっ……」
咥える。
「……ぁ、はっ」
吸う。
「はぁ……っ、そんな強くすんな……っ」

彼の甘い声が聞けるのは嬉しいけど、それ以上、続ける気はなかった。私はシーツから顔を出し、泣きそうな目でボーイフレンドを見下ろした。
これには、彼も唖然としている。

「エッチするときは目ぇ覚めるくせに、私が散歩に連れ出したいときは寝るんだね」

ベッドから下りて、私は今度こそ彼の家から飛び出した。

「……ちくしょう、あのアマ。いきなり人を襲っておいて……どーすんだよ、“これ”」






自宅の近所にて、私は妙な思考に溺れていた。
そりゃ、私もエッチは好きだけどさ……あのまま続けても別によかったんだけど、たまには外出っていうカップルらしいこともしていいんじゃないの。
アイツの頭の中ってエッチエッチエッチエッチエッチ75%がエッチで20%が仕事で残りは私なんじゃないのかな。それとも100%エッチか? だって私が触ってあげたらやる気満々だったもんねあの変態。
一体どういう体してんのかしら。エッチするためなら一睡しなくてもいいってか。ざけんなよアンニャロー。
人がどれだけ楽しみにしてたのか分かってんのか。子供がおもちゃ屋さんに行って好きなものを買ってもらうくらいなんだぞ。子供がスーパーでお菓子を二つ買ってもらえるほどなんだぞ。
奴がエロで満足したいんなら、私だって外出で満足し「おい」何ですか何で付いて来てんですか。誰も追っかけてなんて言ってないんですけど勃起男くん。そう、今日からコイツは勃起男だ。勃起男と書いて「ぼきお」と呼んでやる。

「続きならしないよ。エッチがしたいからって口実で今から外出しても無駄ですぅ。もうそんな気分じゃないし、ヤる気ないし、いや、アンタのを咥えてたらヤる気は出たんだけど、気分が悪いからするつもりないですよ。エッチなんていつでもできるでしょう。いやまあ、デートもだけどさ。てゆか、ここで何やってんの? 寝ないの? 眠いんじゃないの? さっさと家に帰って、あなたの一生の恋人であるベッドの上で一生寝てればいいじゃない」

自分でも何言ってんのかあまり分かってないけど、訂正があれば誰か言ってください。
でも何より怖いのは、彼が恐い顔で無言のままってことです。
何よその顔。何よそのもう一人の俺がどれだけ元気になってどれだけお前の穴を欲しがってると思ってんだ、って顔。そんな顔しても通用しませんよ。
でもやっぱ怖い――って、うおぉ!? 何やってんのこの人! 私を抱えやがった何処に連れてく気だこの勃起男! ヤダヤダ奴の家には戻りたくない魔王は怖い!

「ちょっと放してよ!」

彼はスカートの私を肩に担ぎながら道を歩いています。いや、マジやめてよ。皆こっち見てるよ! 特に男の人達が私のこと見て華の下伸ばしてるよ! じーっとスカートの中見てるよ! 風でスカートひらひらしてるから余計パンツが見えるよ!
てか、何か言ってよ。何か、何でもいいから一言でも言ってくれよ。何、まさか、怒ってんのかコイツ。私なんか怒らせることでもしたか? 実際に怒ってんのはこっちだってのに。
デートはもうしたくないって言ってんのに何処に連れて行く気なんだコイツぁ! それとも私を抱えてパンツ見せてんのか。私は見世物ですか。そこらの町の人々に見せびらかして、私に恥をかかせようとしてんのか良い度胸してやがるこの勃起男。
地面に足ついたら見てろよ。これ以上はないってほどの地獄を見せて――ってここ何処。路地裏じゃん。ちょっとちょっとここで一体何すんの。アンタの家じゃないし私の家でもないし路地裏だよデートスポットじゃないよ何なの――やんっ! スカートの中に手ぇ突っ込んできたあ!

「ちょっ……と、ここ……外だよ」
「わかってる」

え……じゃあ何? ここで……ここで“する”つもりなのかこのエロ魔王!

「ウソ。あ……ちょっとヤダよ放して。なんで外で……こんなこと家に帰ってから……」

すればいいじゃないホントに。
青姦か!? これが青姦というやつか!? 以前、彼の家に寝泊まりして、両親が下の階で寝ているのにも関わらず私に触ってきたとき、青姦のほうがまだマシだとは思ったことがあるけど、あるけどだな……!
ああっわかったよ私が悪かったよ! だから外でエッチはやめてって言いたいけど彼の指が既に私の中にエンターしてしまった。「ぁうんっ」わー! 何声出してんの私!

「エッチだけがいいなら私じゃなくても他の女連れ込んですればいいじゃない。デートがイヤならセックスだけするような女と付き合えばいいでしょ。アンタはカッコいいんだから女をナンパすればその人絶対オーケーしてくれるって。元々告白したのは私なんだし、アンタ断るのが面倒だったんでしょ!」

テンパって、そんなことを言ったら、彼の頭の中で何かがブチィッ!!ってなった。
ひぃーっ顔がこえーよー! 殺されるよぉ! ああもうぐちゃぐちゃにされて逝かされるぅうううう!

「他の女でもいいんなら、お前を今ここに連れて来てねぇんだよ。こんな面倒くせぇ交際だってしてねえ」

そのセリフは嬉しいんだけど私が一番感じるところを爪でひっかきやがった。
「あん!」パンツの中に手を差し込み、クリトリスを指でぐりぐり押しつぶしながら、人差し指を私の中に入れて器用に動かす。それだけで体がゾクゾクする。
そして深いキスをする。ちょっと高度な三ヶ所攻撃。
卑怯者め。

「あぁっ――あ、あっ!」
「あまり声出すといくら路地裏でもかなり聞こえるぜ」

ぎゅっと彼の袖を握る。

「やっ……ん、はっ、許すから……外はやめて……」
「無理。家まで待てない。お前が俺をあのまま放置するからだぞ。セックスがしたくないからって口実で俺を許すな。きちんとお前の気持ちで俺を許せ。俺をもっと怒れよ」

何なのこの男。イヤもうマジで許すから。気持ち込めて許すから外でエッチはやめてぇええええ。
誰かきたらもう外出できなくなる。一生の不覚だよどうしてこんなことになったの。エッチなら家で何十発もヤってあげるからここではマジやめて欲し「あ……っん」うひゃあっ、やめてやめてクニクニすんな!
「やだ、誰かに見られたら……」って言ってもコイツは胸を揉みながら、「こねーよ、誰も」って言い張った。確かに誰も来ないような場所だけどやっぱ不安じゃん。ああっ、でもやっぱ気持ちいい……さすが。この手つき、もう我慢できないわ、ってそんなセックスの欲望におちないで私! 

「ひゃっ……あ」
「結構濡れてきたな」

胸から手を離し、下の部を集中的に弄ってる。
クリトリスを弾かれ。
「あぅっ」
潰される。
「あぁっ!」

うわっ……マジで濡れてきた。乳首も立ってきたヤバイヤバイヤバイ!
これ以上続けたら、その内に頭ん中真っ白になっちゃう理性も無くなる。何度もやめてって言ってるけど、彼は無視をする。

「外出させてやってんだろ」

って、それって私がやりたかった外出じゃないよ。確かに外にはいるんだけど、私のデートプランは喫茶店とか買い物とか映画とか、そういう場所に行って時間を潰したかったのに。

「べっ、別に私がアンタをイかせればいいんだから……私なんかに、んぁ、こんなことしなくても……っ」

恥ずかしすぎて、気が気じゃない。
それでも彼は手を止めようとしない。

「俺だけじゃズルイだろ」
「いいっ……我慢できるっ!」
「俺はできない」
「だからっ、ぁ、あふっ、私が……」
「お前をイかしてぇんだよ。黙ってろ」

そう言いながら、彼はいい感じに私が濡れると指を引き抜く。それだけで「あ、はぁ……」と甘い声が出る。もうされるがままになってしまった私は自分自身を取り出す彼を求めるだけだった。
ああもうどうにでもなれって感じ。つうかもう挿れちゃうの? てゆうか私は何もしなくていいの? 触らなくていいの? ってもうコンドーム被せてるねこれはもう侵入承知しないといけないのかしら。

「ヒクついてんな」

彼は先っぽだけを入れてみる。「はぅっ」
もう立つ力がない。でも彼はそれにちゃんと気付いてくれて、私の腕を彼の首に回し、腰を支えてくれる。
そこから一気に彼が侵入。「やぁ……んっ!」挿れられるとこんなにも体が感じる。足がガクガク震えて、地面に落ちてしまいそう。でも支えてもらってるから平気。
そしてゆっくりと彼の腰が動く。「あぁっ――あ、あぁ!」
中で彼のモノが擦れて、私は敏感に反応する。気持ちよすぎて「やめて」って言うことも忘れてしまった。「っ……はあ」彼も感じているようで、締め付けられる感覚に息が切れはじめている。

「ああっ……や、も……イッ、」

オーガズムを迎えようとしていた私の身だったが、それが彼によって急に中断された。「……?」

「そんな辛そうな顔すんな。少しの間だけだ」

瞬間。
近くで気配を感じた。
この近くで人が通ろうとしている。

「誰か来たらイヤなんだろ?」

彼は止まっているのに、それでもイってしまいそうなくらい過敏になってる私は、口を手で押さえた。中のモノもドクン、ドクンと脈を打っている。

「こんなとこ見られたら、お前、淫乱って思われるんじゃねぇの?」
「誰の……せ、いだと思ってんの……っ」

クク、とイヤな笑い方をする彼は、ここでそのSっぷりを発揮させた。
声を我慢している私に対して、腰を動かしたのだ。
「ふあっ!」とつい声を上げてしまった。

「声上げると聞こえるぜ」

こっ……このやろう! ワザとやったくせに! 頂上はもうそこまできてんだぞ声抑えられるワケがねえ!
涙目できっと睨み付けていると、気配も遠ざかり、確実に消えたと確認すると彼は再び腰を動かす。ラストスパートをかけるように、彼が私の片足を自信の肩に乗せ、ピストンの速度を上げた。

「あっ――あああっ! あっあっあっ、ぁんっ……もう、ダメッ……」

足から頭まで走る、口ではあまり説明ができない感覚に震えると、私は達した。
彼もコンドームの中で液体を放った。

「ホラ。処理しとけ」

ティッシュをポケットから出し、投げつけた。

「さてと……」

何がさてと、だ。人をこんな目に合わせておいて……。

「一旦家に戻って、着替えろよ」
「はあ……?」
「何処に行きたい?」

……順序ちがくね?